メールマガジン第3号
ここでは、メールマガジン内で紹介された池田憲章氏の特撮コラム「池田憲章の部屋」、特別にメルマガに登場していただいた著名人による特撮へのコメントをご紹介しています。
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メールマガジン第3号
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□■ 連載コーナー □■
「池田憲章の部屋」
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【地底怪獣バラゴンが見せた多彩な顔!】
アニメ『ドラえもん』の劇場アニメ第1作である『ドラえもん/のび太の恐竜』の中で、のび太が育てたフタバスズキリュウのピー助を太古の世界へタイムマシンで運んだのに、そこが北アメリカ沿岸の海で、ずっと体の大きいアメリカの恐竜にいじめられ、仲間になれないという描写が出てきた。
ドラえもん達はピー助を種族が同じ恐竜が住む日本近海へ運ぼうとする・・・・・・。
アメリカと日本では、住んでいる恐竜の種族が違うというアイデアは、さすが恐竜ファンで有名だった藤子・F・不二雄氏ならではの冴えであった。
『フランケンシュタイン対地底怪獣バラゴン』(1963)の地底怪獣バラゴンも、円谷英二特技監督は東洋に住んでいた恐竜の香りを出そうと考えて、神社に安置されている狛犬(こまいぬ)と獅子舞いの獅子頭の顔の特徴(特に獅子っ鼻から両目へとふくらむ曲線の顔面ライン)を恐竜に合体できないかと提案した。
渡辺明美術監督が地中での発光器を兼ねる岩を砕く、わん曲した角を顔面の中央に配する大胆なデザインを行ない、犬好きの子供が喜ぶようにたためる大きな耳をつけ加えた。
初代ゴジラからぬいぐるみ造形のネンド原型を手がけてきた利光貞三氏がその全てを立体の中にまとめあげた。さらに中に入るスーツアクターの
中島春雄氏が大ジャンプ攻撃に頭から落ちてグルリと前方回転したり、土中に埋められて出現するシーンと、それまで重厚にゆったり動いた
ゴジラと対極の、すばやく、激しく動く25mの野獣の新イメージを、怪獣映画につけ加えた。
円谷英二特技監督の怪獣イメージは、バラゴンを皮切りにガイラ、ゴロザウルス、メカニコングと第2ステージの新時代を開幕させるのである。
(特撮研究家・池田憲章)
■連載コーナー■「特撮リボルテックの輪」
パフォーマーとしても活躍されている『中沢健さん』から頂いたコラムです。
コラム:中沢健
僕は1981年、ウルトラマン80の放送が終わった数ヵ月後に生まれた怪獣ブーム未経験世代であるらしいが、そんなことはお構いなしに物心付いた時から今の今までずっと、一番大好きなものといえば「怪獣」であった。
そんな僕が上京してから物書きの仕事をするようになると怪獣好きが高じて、怪獣を愛する人達と出会い、交流する機会も多くなった。彼らと共に、会話の八割以上が怪獣に関することという怪獣マニアの飲み会に参加するのは実に楽しい。
だが、そんな怪獣マニアの飲み会ではよくこんな話になった。
「君の年齢で怪獣が大好きって珍しいね。」
— そうなのだ。怪獣好き同士で集まると、メンバーはいつも僕より一回りか二回り上の人達ばかりだったのである。
二十代の怪獣ファンはいつも僕だけであった。
考えてみると今は無き浅草東宝や、池袋の文芸座などで行われていた怪獣映画のオールナイトを見に行っても、僕と同年代くらいの人間は本当にわずかしかおらず、怪獣というのは僕達よりも上の世代の趣味のような感があった。
怪獣ブーム未経験世代の怪獣マニア、
二十代には珍しい怪獣マニア・・・
そのように周りからは思われることで、怪獣関係の仕事を多くいただけたのも事実であった。希少価値がそこにあると思っていただけたのだろう。
それは非常に光栄なことであったし、ある意味ではラッキーなことでもあったと思うが、いつも怪獣マニア同士で集まると、「キングコング対ゴジラ」や「サンダ対ガイラ」、またはウルトラQ〜セブンまでの初期のウルトラシリーズの話題、「キンゴジとモスゴジ、どっち派?」みたいな会話ばかりになってしまうことに非常に歯がゆい思いをしていたのも事実であった。
もちろん、僕もキングコング対ゴジラも、ウルトラQもセブンも大好きである。だが、それらの作品に負けないくらい思い入れのある作品として、「ゴジラVSビオランテ」だったり、ウルトラマンティガもあったのである。
特にゴジラVSシリーズに関しては、ウルトラもガメラも新作が無かった小学生時代に、公開されていた唯一の新作怪獣物であり、特別な思い入れがあった。
しかも、このゴジラVSシリーズは、第一次怪獣ブーム程では無いにせよ、興行的にも大成功して、ゴジラVSビオランテが公開された頃(自分は小学2年生だった)は、ゴジラに夢中になっている子は僕くらいであったが、新作が公開される度に学校内でもゴジラの話題をする子は増えていき、いつの間にかクラスの大きな話題事の一つにまで昇り詰めていったのである。
これこそ、怪獣冬の時代に生まれた僕にとっては奇跡のような出来事であり、やはりゴジラというものは、どんな時代だろうと失わないパワーを持っているんだなと感激したものである。
そんな僕だから、怪獣マニアの集まりで皆がキングコング対ゴジラで盛り上がるように、ゴジラVSビオランテについて熱く語りたかったし、
轟天号について語るようにスーパーXⅡについても語りたかった。
「キンゴジ、モスゴジ、どっち派?」という質問の中には、是非、ビオゴジという言葉も入れてもらいたかったのである。
そんな日々がしばらく続いていたのだが昨年、ゴジラVSシリーズが登場して20周年の記念すべき年には、VSシリーズ関連のイベントが
次々と行われて、今まで目立たなかった20代の怪獣ファンが多くイベントに駆け付けていた。
僕もそんな場には積極的に足を運び、多くの20代の怪獣ファンと交流することが出来たのだった。
そう、怪獣というのは決して四十代、五十代の人達だけが愛するものでは無かったのである。
怪獣というものは、どんな時代に生まれようと、男の子達を夢中にさせてくれるものがある。怪獣冬の時代に生まれた僕はそれを直にこの目で見てきた。
今の時代、怪獣は僕が子供であった頃以上に冬の時代だと言われているが、怪獣は決してかつて子供だった大人のノスタルジーとしてだけではなく、現在の子供の心にも響くものであるはずだ。
だから、怪獣はいつの時代にも、映像として、あるいは書籍として、そしてフィギュアとして作り続けていかなければならないのである。
特撮リボルテックも大人だけでなく、今の子供達にとっても素敵な宝物になって欲しい。少なくとも小学生の頃の僕だったら、朝から晩まで飽きることなく遊んでいたと思う。
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◆ 中沢健さんプロフィール
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中沢健(なかざわたけし)、1981年 10月30日生まれ
2001年より、普段着に自作のキャラクターのイラストや俳句、詩などを
貼り付けた「歩く雑誌 月刊中沢健」として24時間エンターティナー活動を
行う。テレビ番組やイベントを中心に活躍。
関根勤から日本のバカトップ3に選ばれるなどの評価を受ける。
作家としても活躍しており、2009年11月に、長編小説デビュー作となる
「初恋芸人」が風塵社より発売される。
中沢健 公式ホームページ
http://www.geocities.jp/takeshi_nakazawa1981/
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