ここでは、メールマガジン内で紹介された池田憲章氏の特撮コラム「池田憲章の部屋」、特別にメルマガに登場していただいた著名人による特撮へのコメントをご紹介しています。
この他にもたくさんのコンテンツが用意されたメールマガジン!
ご登録がまだの方は、是非登録ください!
登録ページはコチラ。

メールマガジン第11号

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
          □■ 連載コーナー □■ 
           「池田憲章の部屋」
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
「トイ・ストーリー3の世界展」を訪れて。by池田憲章

8月1日の日曜日、東京の新宿駅から京王新線で一駅の初台で降り、オペラ・シティのビルの中にある美術館で開かれている「トイ・ストーリー3の世界展」へ行ってきました。
 おめあては、CGで企画を作る前にウッデイやバズ・ライトイヤー、エイリアンがどのくらいの大きさで、どんな色味、ボリューム感をしているのかを、全スタッフ(アニメーターや背景の美術スタッフ、脚本、CG周辺の技術スタッフ)が実感できるように、1分の1サイズで作られた完成モデルマケットで、造形スタッフのキャロル・ワン(Carol Wang)が手作りで生み出したフィギュアだった。
 展示品の中でもスペシャル扱いで、ガラスケースの中に、それぞれ得意のポージングをして展示されていた。ウッディ、バズ・ライトイヤー、ジェミー、エイリアン、ロッツォハグベアの5体で、「トイ・ストーリー3」のスペシャルゲスト人形であるロッツォハグベアは、ひとまわり大きい毛糸製の抱き人形タイプの本物材質の大型人形(子供が抱きしめた時、毛糸と布の体がどうへこんだり、復元するのかを確かめることができるからだろう。CGだけでは判らないからだ)がドドーンと台の上に座りこんでいて、これは手でさわれるようにガラスケースをかぶしてなくて、つい柔いぬいぐるみの肌あいをさわってなるほどと思いました。
 展示でいつまでも見てしまったのは、キャラクターラインナップ、キャラクター表、鉛筆やデジタル作画で描かれたキャラクター、コマ漫画みたいなカラースクリプト、アンディの子供部屋のレイアウト、机回りや壁に貼ってあるピンナップや本、パソコン、小物の配置が判る設定書、カラーのイメージボードとストーリーボードで、数えてみると、121枚が3面の壁に展示せれていました。
 特におもしろかったのが、ピクサーが特に絵コンテ作業の時に必ずやってきた作業であるカラースクリプトで、カラーと言ってるのにモノクロで描かれたアクション絵コンテで、キャラもかなりカリカチュアされていて、画面展開とカットのつなぎ、主人公とキャラクターの動き、表情が判るように、ちょっとコミック。タッチに連続シーンで描かれています。
 会場で流されていたビデオの中で、アートディレクターの日本人スタッフである堤大介さんが語っていて、「映画は最初の頃は、カラーではなくモロクロの世界でした。音さえない時代で、でもそれでハラハラ、ドキドキ、楽しくなって笑って見ていたんです。
モノクロで描くことで、映画本来の動く楽しさ、昼なのか夜なのか、画面構成とアクション、カラーリングの工夫を確かめることができる。そのためにモノクロで描くんです」というコメントだった。
 堤大介さんが言うモノクロの映画は、ディズニーの短編の「ミッキー・マウス」やライバルのディブ・フライッシャーの「ベティ・ブープ」や「ポパイ」だけでなく、偉大なコメディアンのチャップリンやバスター・キートン、ロイドたちの映画まで射程に入れた感じだった。
 大スクリーンのビデオ上映では、ダーラ・K・アンダーソンプロデューサーが番組の制作を語り、テーマ別に声を担当したトム・ハンクスやレギュラーの俳優陣にゲストキャラクターを演じるベテラン俳優のコメントや録音風景と完成場面が、監督のコメントとテンポよく紹介されていき、小さい子供連れの親子も楽しめる映像コーナーになっていた。
 展示を見ながら、特撮リボルテックのウッディやバズ・ライトイヤーが、ここに展示されていても、なんの違和感もないだろうと思った。この全スタッフがこだわった楽しさ、そして少年時代に形と遊んだ懐かしい1スタルジーへの共感が、特撮リボルテックの造形の中にも血脈として流れているからだ。
 とても幸福な気持ちで、ギャラリーを出て、家へ帰ってみると、ウッディとバズが机の上で出迎えてくれた。
「おまえさん達の仲間と会ってきたよ」と心の中で語りかけると、「楽しいやつだったでしょう」とウッディ。「皆、私の大切な仲間だからな」とバズがニヤリ。ギャラリーは9月5日まで開催中だ。ぜひ、見に行くことをお勧めする!

(特撮研究家、池田憲章)
※この展示会は9月5日をもって終了しております。

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

有名人、著名人コラムコーナー

今回の登場は、アニメ「新世紀エヴァンゲリオン」のキャラクターデザイナー、同作漫画の漫画家として、圧倒的な知名度と人気を誇る『貞本義行』から頂いたコラムです。

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

『当時、この素晴らしい海洋堂アイテムが存在していたら、
もう少しデッサンのスキルが上がっていたかもしれない』

ITCや円谷、東映特撮ヒーローモノetcが花盛りだった60年代後半。
デジカメやビデオはおろか、ラジカセさえなかった僕の幼少時代。教育熱心な両親はその手の本をほとんど買ってはくれなかった。
(ん?そんなに頭よくないから、単にボンビーだったのかも・・・)
だから、番組を視聴する際の必修アイテムはもっぱら紙と鉛筆。
番組を観終わるとすぐさま記憶をたよりに落書きタイム。
広告チラシの裏、教科書やノートの隙間、テスト答案用紙の裏。
ありとあらゆる白い紙に絵を描きまくった。
考えてみれば現在、絵描きとしてこうして食っていけるのはその頃の修練のたまもの?だったのかもしれない。
(ありがとう。父ちゃん&母ちゃん・・・)
当時、すばらしい出来の海洋堂のアイテムが存在してたらどうしただろう?
お気に入りのポーズをとらせ、片目でなめ回すように見ながら、やっぱり落書きをしたのだろうか?
だったら、もう少しデッサンのスキルがあがってたかもしれない。
既にエヴァキャラでも実証済みだが、フォルムを大事にしながらも無理なく自由にポーズがつくれるリボルテックシリーズ。
円谷モノや特撮ヒーローもいいが、マイナーなSFX MOVIEモノやITCモノへの期待もこめてこれからの新作にも注目していきたい。  

キャラクターデザイナー・漫画家
貞本義行
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

この他にもメルマガ限定のコンテンツをご用意しています!
是非、ご登録ください!
登録ページはコチラ。