My Favorite No.1:002 「海底二万哩」(かいてい20000まいる)スノウグローブ(文:聖 咲奇)

唐突だが、「スノウグローブ」と云う物をご存じだろうか。海外などでは観光地などのお土産として定番化したものである。
ガラス又はプラスティックの球体に液体と細かい粒が密封されていて、手に持って振ると粒が球体内に散ってゆっくりと沈んで行く。スノウドームとも云う。球体の中にミニチュアの家や景色などが封じ込められていて、振ると白い粒があたかも雪景色のように見える。
もともとがそうやってミニチュアの雪景色を楽しむものだったが、コレクターが増えるにつれ様々なグレードアップを遂げた。白い粒の代わりに金粉・銀粉や色粒を使ったもの、豆電球やダイオードを仕込んだもの、オルゴールを仕込んだものなどが登場、かなりのバラエティをもって現在も売れ続けている。
ここにご紹介する「海底二万哩」のスノウグローブは、限定版のコレクターズアイテムで、本場のディズニーランドでも買えない代物らしい。スノウグローブの底にはDisney Shopping, Inc. と記されているが、既に同社の扱いからは外されている。
写真でご覧の通り、重くて持ち上げて振るなんてことは出来ない。電気式(ふっ古い)で、底面のスィッチを入れるとノーチラスのライトが点灯し、ガラス球の中で水流が起こって、アルミ箔の粒を水中に散らす。キラキラと虹色に輝く粒子の舞い踊る様は幻想的である。
底面にはネジも付いていて、これを廻すと「トッカータとフーガ」のメロディが流れる。こういったミニチュア世界には口では言えない魅力があって、スノウグローブはそれを見事に「現実から切り離されたもの」として確立させている。 (聖 咲奇)

聖 咲奇 プロフィール
1952年 京都市左京区生まれ。
小さい頃から普通でないものが好きで、怪物・怪獣・SF・怪奇などに異常に燃える。
高校卒業の年、東京に出て2年間アングラ演劇の音楽を担当。

怪奇SF映画同人誌「不死鳥画報」を出版。
20歳で京都に戻るも、数年後初の渡米を機に再び東京へ。

ライターとして数種の雑誌に関わり、当時「てれびくん」の編集者だった安井尚志の紹介で企画者104に参加、東映TVの特撮ヒーローシリーズの企画に携わる。

104での仕事をきっかけに朝日ソノラマで編集の勉強。
「ファンタスティック・コレクション」「マンガ少年」別冊の編集を経て、79年暮れ、「宇宙船」創刊に参加し、構成を20年近く担当。
アメリカのガレージ・キットによるフィギュア文化を積極的に紹介し、日本のアマチュア造形作家に誌面参加を呼びかけた。怪獣、SFキャラの造形ブームがここから始まっていく。

ゲーム企画、シナリオ、CGなどもこなし、映画・CG・コンピューター関係の単行本を5冊執筆。

現在アミューズメント・メディア総合学院講師。

聖 咲奇 ホームページ


■映画「海底二万哩」(1954年)
SFの父と呼ばれるフランスの作家ジュール・ヴェルヌの冒険小説「海底二万哩」(1870年)をカラー映画でウォルト・ディズニーが1954年実写化した。
19世紀後半、ネモ艦長が操る潜水艦ノーチラス号が暴れまくるSF映画で、ノーチラス号の海洋特撮が迫力満点で大イカとの戦い、水中の神秘的な航行シーンと多くの熱狂的ファンを持つ傑作映画だ。